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9月G7と4月G7との違いは?
 
9月16日にG7(財務相・中央銀行総裁会議)がシンガポールで開催されました。その後の共同声明においては、「多額の経常収支黒字を有する新興国・地域、特に中国の為替相場の更なる柔軟性が望ましい」「米国の経済成長は緩やかになっているが依然として好調。日本はゼロ金利政策を解除し、景気回復は広がりをみせている」「いくつかの国でインフレ懸念や保護主義など潜在的な経済の下振れリスクがある」などとの見解が示されました。
 
 前回4月下旬にワシントンで開催されたG7(財務相・中央銀行総裁会議)での共同声明と同様、中国を名指しして人民元の一層の改革を促す文言が盛り込まれ、材料的にはアジア通貨高/円高要因となると考えられる内容となっていたものの、為替市場の反応は9月G7と4月G7では異なるものとなりました。その理由は何であったかということについて、今回は考えてみることにします。
 
前回4月下旬のG7後の為替相場
 
 本年4月のG7では、共同声明において「多額の経常黒字を有する新興市場、特に中国における為替レートの一層の柔軟性が、調整が進むために望ましい」との見方が示され、また、グローバル・インバランスに関する付属文書においては、「アジアの新興諸国−特に中国においては、必要とされる通貨の上昇のためにより柔軟な為替レートが不可欠である」との指摘がなされました。このことを受けて、市場では「グローバル・インバランスの是正」がG7後のテーマとして意識される格好となり、米国通貨当局が巨額に膨らんだ米貿易赤字削減を狙ってドル安誘導に動き出すとの思惑が台頭して、ドルが急速に値を下げていく展開となりました。G7明けの月曜日には、ドル円は前週末のニューヨーク市場終値116円60銭から大きく値を下げて115円台後半でオープンし、暫くのあいだは下値を切り下げていく展開が続くことになりました。そして5/17には、一時109円00銭を割り込む場面も出てきました。
 しかし、ドル売り/円買いの動きが一巡した後、米国通貨当局者がドル安誘導を否定するコメントを出したことや、日本の経済指標の鈍化を受けて円金利の上昇観測が後退したことなどから、市場の目は再び日米金利差へと向けられていき、海外投機筋を中心として円キャリートレードを構築する動きが活発化していきました。その結果、ドル円は6月下旬に4月G7前の水準を回復し、9月G7が行われる前日の9/15には、118円台前半にまで上昇する値動きになりました。
 
9月G7後の為替相場
 
 4月G7声明と同様に、9月G7の声明も中国を名指しして一層の人民元改革を促す内容となりましたが、特段目新しい内容が出てこなかったことからドル売り/円買いの動きは加速しませんでした。目新しい内容が出てこなかった背景には、商品市場やインフレ動向への関心が高かった中で為替相場が主要議題とはならなかったことや、日本がG7の議長国だったことが配慮されて円について直接的な言及がなされなかったことなどが挙げられますが、中国の人民元改革が進むのはなお先になるとの思惑が市場に広がったことも手伝い、G7直後には円が主要通貨全般に対して軟化することとなりました。
 
違いは相場への織り込み具合い
 

 このように、G7で同じ声明がでてきても、その後の反応が異なるということがよくあります。こうしたことは、市場が相場材料をどの程度織り込んでいるかということによって起こります。4月のG7については、事前に「中国が名指しで一層の通貨改革を求められる」声明が出てくるということが予想されていなかったため、G7声明が「サプライズ」となって市場が反応していく展開となりましたが、9月のG7については、4月のときと同様の声明が出てくることが事前に織り込まれた形となっていたため、サプライズのない声明に対して市場の反応が出てこなかったと言えるでしょう。

 

 「噂で買って事実で売る(Buy on rumor, and sell on fact.)」という相場格言があるように、相場が材料を織り込みながら変動してく場合には、その材料が発表された後に、「材料出尽くし」との判断からポジションを手仕舞う動きが加速するということがよくあります。
 例えば、かつて湾岸戦争の勃発した1991年1月には、戦争開始前に米国とイラクとの緊張が高まる中で有事のドル買いが進みましたが、米軍の空爆開始後には積み上がったドル買いポジションを解消する動きが活発化して、ドルが大きく下落する展開となりました。
 将来の相場展開について考える際には、市場の注目材料がどの程相場に度織り込まれているのかという視点を持つことが非常に重要であると言えるでしょう。

 
以上
  
 
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