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1.米国の破産法の構造
日本における企業倒産法制の柱は、会社更生法と民事再生法で、これに破産法が加わることにより、企業倒産(個人にも援用)の法体系が確立されています。一方、米国では、破産法という大きな法律の中に様々な方法での企業の整理等が体系化されています。一般にはChapter11と呼ばれる、破産法第11章の適用申請をよく耳にしますが、米国と日本では法体系が違いますので、米国での破産法申請と日本での破産申請は全く異なる場合が多いのです。
2.破産法・第11章(Chapter11)
米国の破産法第11章は、企業の再建の為の手続きを示した法律です。この法律に類似した日本の法律は民事再生法であり、破産法ではありませんのでご注意下さい。
米国の企業再建手続きは、先ず、債権者集会を開催し、債務を確定させ、その後、債権者委員会が設立され、管財人が選任されます。一方、旧経営陣も、占有債務者と呼ばれる事となりますが、管財人と同等の権利が保証され、第11章申請前の事業をそのまま継続して行なう事ができますし、裁判所が認めれば、旧経営陣が管財人となる事も可能です。そして、占有債務者が財産と債務を記した一覧表を裁判所に提出し、残余財産を確定させます。その上で、通常は、120日以内に債務者側が再建計画を作成し、債権者数の過半数、且つ、債権額の3分の2以上が賛成すれば、この計画が承認され、計画に沿って減額された債務を返済し、事業を継続します。更に、再建計画に基づく義務を全て果たすと、債務者は倒産状態から脱却したものと看做され、通常の企業として事業を継続する形に戻れるのです。
3.破産法・第7章(Chapter7)
破産法第7章申請が、日本の破産申請にあたるものです。これを清算型倒産処理といいます。債権者集会を開き、管財人を選任するのはChapter11と同様ですが、直ぐに債権証明の届け出を行なって、債権・債務の額を裁判所が確定させ、債権者による個別の取立ては自動的に停止されます。そして、債権の優先順位に基づき、残余財産を公平に秩序立てて分配することになります。この優先順位も法律で決められます。又、企業が当初、破産法第11章による破産申請を行っても、提出された再建計画に関して、裁判所が再建の可能性無しと判断すると、第7章手続きに移行するよう命ぜられる事もあります。
破産法第7章は個人にも適用され、一般的には様々な免責措置が講じられますが、これは日本での自己破産と同様のものです。
4.事前調整済みの第11章手続き
債務者と利害関係者は、予め再建計画を策定し、大要に関して合意した上で、裁判所に対して、第11章手続きを申請する事もできます。これは第11章申請後に再建計画を策定する場合には、それまでに多大な時間と費用が掛かってしまうおそれがある為、これを回避する為の救済策です。これが事前調整を経た第11章手続き(pre-negotiated Capter11)
と呼ばれ、今回の米自動車産業・再建の為に米国政府が考慮中とも言われています。更には、債務者と債権者が、再建計画を策定し、予め債権者の承認を得た上で第11章手続きを申請する事も認められており、こちらはpre-packaged Chapter11と呼ばれています。
5.日本の倒産法制
日本の倒産法制は、破産法、会社更生法と民事再生法が柱となっています。以下にそれぞれの特徴を簡単に記してみます。
- 破産法
債務者の財産を換価し、債権者に公平に分配する為の手続きに関して示しています。清算手続きの為の法律です。
- 会社更生法
事業の維持、更生を目的として、更生手続きを定める為の法律です。又、この法律は株式会社のみを対象としている他、管財人が必ず選任され、抵当権、質権等の、担保権者に、優先的な回収(別除権)が認められないという特徴があります。
- 民事再生法
経済的に窮地に立つ債務者の事業や経済生活の再生を目的とし、その手続き等を規定する法律。この法律による再生手続きが開始されても、旧経営陣は事業の継続が可能です。
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