最近まで、原油価格高騰が日本経済に与える影響は大きいとして、為替市場では原油高=円売りという捉える向きもありました。原油について日本の輸入依存度が高いこと、また日本が経験した2度の石油危機(1973年、1979年)の際の混乱が、まだ市場参加者の記憶に残っていることがその理由と思われます。
しかし、今回の原油価格高騰が日本経済に与える影響は、以下の点から、むしろ米国に比べ相対的に小さいと考えられます。
すなわち、現在はその当時と比べ、脱石油・省エネ(エネルギー効率の改善)がかなり進んでおり、例えば、実質ベースで1億円のGDPを稼ぐために必要な原油量は現在では55キロリットルと、1980円当時の106キロリットルに比べ半分近くまで低下しています。また、省エネを進めた結果、現在の日本の原油需要量は極めて安定していることも注目されます。また、同様に石油危機時に比べ、高い水準の石油備蓄量が確保されていることも見逃せません。
このように脱石油を進める中でも、GDPは石油危機時の約1.8倍となっており、日本の原油価格高騰に対する耐久性が高まっていることが分かります。
「価格上昇」という面からは、今回円高により輸入原油価格の上昇幅が抑制されていることも、価格高騰の与える影響を小さくしていると言えます。第2次石油危機の際に1バレル40ドルを超えるレベルまで原油価格が上昇した1980年当時は現在よりかなり円安であり、1980年のドル円のレンジは、202円95銭〜264円でした。
しかし、原油価格高騰が石油輸入国に悪影響を与えることは、大なり小なり間違いありません。日本の原油価格上昇に対する耐久力が高まったとはいえ、原油価格がこのまま高止まりする、あるいはさらに高騰するようなことがあれば、日本経済への打撃も大きなものになる可能性はあります。 |