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EU(欧州)憲法とは?

 

現在、「EU(欧州)憲法」の批准・否決を巡って、欧州が揺れています。その影響は、ユーロはもちろん、ポンド等他の欧州通貨を中心に、外国為替市場に広く、大きく及んでいます。
では、そもそも、今回市場の攪乱要因となったEU憲法とは一体どのようなものなのでしょうか。

EU(欧州)憲法とは・・・

EU(欧州)憲法とは、欧州連合(EU)の指針となる基本法のことで、正式名称は「欧州のための憲法を制定する条約」です。法的には「条約」ですから、全加盟国の批准をもって初めて発効するというわけです。
この欧州憲法条約発効後は、外交、安全保障、防衛に関わる政策分野において、単一の法的基盤をもつことになるのです。

EU憲法の設立・発効までの経緯

EU加盟国が拡大することに伴い、EUが機能不全に陥ることを防ぐために、約2年半にも及ぶ議論を経て、「欧州の将来に関するコンベンション」欧州憲法制定条約草案として、2004年6月に採択されました。そして2007年の発効を目指し、現在に至っています。
前述したように、発効には全加盟国の批准が必要となります。しかしながら、加盟国の5分4が批准すれば首脳会議で次善の策を検討する、という付則もついています。

EU憲法の特徴

EU憲法の大きな特徴としては、「意思決定の効率化」が挙げられます。これは、「大国主導」での決定を避けるために、意思決定に関しては、いわゆる二重多数決が採用されました。すなわち、

 

1) 加盟国の55%以上が賛成する 
2) かつ、その賛成国の人口の総数がEU総人口の65%以上になった場合

 

と定められています。加盟国の規模を考慮した公平性と、小国にも配慮した内容となっています。
またEU憲法においても、ECB(欧州中央銀行)の独立性と、その政策目的として「物価安定」が再確認されました。

 

(その他の主な内容)

  • 「EU」に法人格を付与(これに伴い、EUが各国に代わり国際条約に調印することが可能に)
  • 「EU大統領」と「EU外相」の新設
  • 共通外交・安全保障政策の発展
  • 欧州議会、閣僚理事会及び欧州委員会の役割を明確化
  • 欧州理事会を閣僚理事会とは別個の機関と位置付け
  • 欧州委員会の権限強化_法案発議権のほぼ独占、EUを対外的に代表する機能(共通外交・安全保障政策を)除く
  • 民主主義と透明性の向上_100万人以上の署名による市民の法案提出請求権 等々

EU憲法を巡る各国の状況

現在、加盟国25ヶ国中これまでに10カ国が批准、2ヶ国が否決しました。
その内容は以下の通りです。(2005年6月現在)

 

・批准した10ヶ国・・・・ ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシア、スロベニア、オーストリア、ハンガリー、スロバキア、リトアニア、ラトニア
・否決した2ヶ国・・・・・ フランス、オランダ

 

今後、残り13ヶ国の内7ヶ国が国民投票によってEU憲法の是非を問う予定ですが、仏・蘭の否決の流れを受けて、英国は批准手続きを凍結、他国も手続きを一時見送るムードが強まっています。

EU憲法発効への課題

EU憲法の大きな課題は、EUの拡大路線に伴い、新規加盟国となった東欧や中東からの労働力が流入することでで、雇用が奪われることへの危機感が(特に主要国の国民に)強いことです。これが仏蘭でのEU憲法否決の要因にもなりました。今後、国民投票が行なわれる国でも、同様の懸念から仏・蘭と同じような結果となる可能性は十分にあります。
また、EUの基本的方針・主導権をめぐっての「主要国の軋轢」も問題となっています。仏独が中心となり主張している「連合(連邦)的国家」という形か、一方、英国が中心となり主張している「緩やかな国家連合」になるのか、という大きな問題も残されています。

 

2005年6月16日(木)開かれたEU首脳会議で、作業終了期限を当初の2006年10月末から無期限に延期することを決めました。批准作業の打ち切りではありませんが、作業がかなり長引くことになるのは間違いなく、EUにとっては、まだまだ厳しい道のりが続くと言えましょう。

 

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