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グローバル・インバランスの是正とは?

 

ドル/円は、今年4/21に開催されたG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)後から5月中旬まで急速に下値を切り下げる展開が続き、5/17には一時108円99銭の年初来安値を示現する場面がありました。ドル/円が108円台まで下落した要因の一つには、4月のG7声明において「グローバル・インバランス(世界的な国際収支の不均衡)の是正」が謳われたことが挙げられます。この声明を受けて、市場には米国政府が巨額に膨らんだ経常赤字削減を狙ってドル安誘導に動き出したとの見方が台頭し、同声明が「第2のプラザ合意」になるのではないかとの思惑も浮上しました。今回は、この「グローバル・インバランスの是正」と為替相場の関係について考えてみることにします。

「グローバル・インバランスの是正」とは・・?

今年4月のG7声明では、G7各国が、「為替レートはファンダメンタルズを反映すべきである」との認識を共有し、「為替レートの過度の変動が経済成長にとって望ましくない」ことと、「為替市場を引き続き注視して適切に協力する」ということが再確認されました。また、同声明の付属文書では、「多額の経常黒字を有する新興国、特に中国における為替レートの一層の柔軟性が、経常黒字の調整のために望ましい」との見解も示されました。そして、G7各国が「不均衡是正のために積極的な行動をする」ことも確認され、「アジアの新興国−とりわけ中国−においては、必要とされる通貨の上昇のために、より柔軟な為替レートが不可欠である」との見解も示されました。経常収支の不均衡が問題視されるのは今回のG7に限ったことではありませんが、声明の中に国際的な不均衡是正のため各国が協力していくことが明記されたことや、中国が名指しされたことなどは、市場参加者に大きなサプライズを与える形となりました。その結果、市場では米国政府が中間選挙に向けドル安誘導で景気拡大を図るとの思惑が台頭し、ドルは主要通貨全般に対して急激に値を下げる展開となりました。G7前には116円台半ばで推移していたドル/円も、5月半ばには109円割れまで下落しました。

通貨安誘導が景気と経常赤字に影響を与えるメカニズムは・・?

通貨安が景気に及ぼす影響は、一般的には以下のようになると言われています。
(例:米国の場合)

通貨安(ドル安)
⇒米国企業が輸出相手国から受け取るドルベースの輸出代金が増加
  →米国企業の輸出競争力が向上→米国企業の輸出向け生産の増加
  →米国内の景気が活性化、輸出増加によって経常赤字も減少
 
日本の場合、円安が進めば本邦輸出企業の円ベースの輸出代金が増加することとなり、国内景気を浮揚させる一因となります。

 

今年4月のG7では、新興国が自国通貨の価値を意図的に操作して米国の経常赤字を拡大させる結果に繋がっているということが問題視されました。過去において、米国の経常赤字の問題が協議された国際的な会合としては、1985年9月の「プラザ合意」があり、為替市場では、その直後からドルが急激に値を下げる展開となりました。今年4月のG7後も、かつての「プラザ合意」と同様の合意がなされたのではなかとの憶測が浮上し、一部のメディアで「第2のプラザ合意」などとも報じられて、思惑的なドル売りが加速することとなりました。

「プラザ合意」とは・・?

為替相場がドル高傾向にあった1980年代半ばには、米国と日・欧間の貿易不均衡問題が政治問題へと発展し、それを協議するための会合がG5(当時の主要5カ国であった日本・米国・英国・ドイツ・フランス)の蔵相・中央銀行総裁の間で行われました。1985年9月22日にニューヨークのプラザホテルで行われた同会合では、「為替レートの調整によって各国間の貿易不均衡の是正は可能である」との合意がなされました。この合意(同会合がプラザホテルで行われたことから、後に「プラザ合意」と呼ばれるようになりました)を受けて、各国は直ちにドル売り介入を実施し、ドル相場は急ピッチで水準を切り下げていく展開となりました。この会合が行われる前、ドル/円は1ドル=240円近辺で推移していましたが、同会合後には、僅か数ヶ月で1ドル=200円を突破して下落する展開となりました。

「グローバル・インバランスの是正」という相場材料と今後の為替相場

冒頭でも述べたように、4月のG7声明で「グローバル・インバランスの是正」が謳われたことを受け、ドル/円は5月半ばに109円近辺まで下落しました。しかし、バーナンキ米FRB(連邦準備理事会)議長をはじめ、米金融当局者らがドル安誘導を否定したことや、インフレを懸念するタカ派的な発言を繰り返したことなどから、6月下旬にはG7前の1ドル=116円台半ばレベルまで値を戻す展開となりました。
現状、為替市場の関心は「グローバル・インバランスの是正」という点から離れた形となっていますが、米国の経常赤字は依然として拡大を続けているため、米国内のインフレ懸念や利上げ観測が後退してくることになれば、ドル安誘導の思惑が再び台頭してくる場面が出てくるでしょう。また、その場合には、巨額の経常黒字を有する日本に対しても、米国政府から何らかの圧力がかかる可能性があると言えるでしょう。

 

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