(a) インフレーション〜原油高がもたらした経済状況
1970年代同様、今回もインフレ懸念を強めているのは、歴史的な原油高です。需給逼迫や「地政学的リスク」を背景に原油価格の上昇が止まらず、NY原油先物相場は、2008年初頭に遂に1バレル=100ドルを突破して史上最高値を更新しましたが、この原油の暴騰は、他の商品価格にも波及しました。
すなわち、原油高が代替燃料としてトウモロコシの需要の増加をもたらしたため、他の農産物の生産量が激減し、穀物価格を押し上げる結果となり、さらに、飼料用の穀物の上昇が家畜の生産に影響を与えたことから、肉やソーセージの価格も上昇しました。
そして、原油・ガソリンの上昇による輸送コストの上昇が、商品価格全般の上昇を招くという形でインフレ懸念を強めているのです。
(b) スタグネーション〜サブプライム問題発生がもたらした景気後退への懸念
2007年以降、米国の景気後退の発端となったのは「サブプライムローン関連損失」問題であり、住宅ローンの不払いや遅延が拡大したことにより住宅ローン市場、そして米国の住宅市場全体が不振に陥ったことから始まります。米住宅建設・販売ともに未曾有の落ち込みを示し、個人消費の中である程度の割合を持つ住宅関連の消費の減退や、消費者向けのローン残高の急減も消費全般の足を引っ張り、米国GDPの伸び率低下をもたらしたほか、米国株の長期的な低迷の端緒ともなりました。
景況感を表す指標では、ISM指数の50割れやフィラデルフィア指数の大幅な落ち込みなどが、景気後退の前兆を示唆するものとしてクローズアップされています。 |